いなか浜は急峻な海蝕崖に囲まれた屋久島では数少ない貴重な砂浜。日本一の海がめ産卵地として知られ、貴重な湿地としてラムサール条約にも登録されています。
いなか浜の砂は、花崗岩が砕けた荒めの黄色い砂。素足で歩いても足にくっつきにくく、手で払えばすぐ落ちる砂です。この砂浜が約1kmに渡って続きます。
アカウミガメが産卵のために上陸し始めるのは、5月から。6月から7月中旬にかけて産卵のピークを迎え、最盛期には全長1m以上の大きなアカウミガメを一晩で20頭以上も見ることができます。
アカウミガメが砂浜に上がってくる主な時間帯は、午後9時過ぎから午前3時頃。砂浜を歩きまわって産卵に適した場所を見つけたら、 まずは体が入るほどの大きな穴を掘り、続けて卵を産み落とすための穴を掘ります。 そこでピンポン玉くらいの大きさの白い卵を産んだら、器用に砂をかぶせてまたゆっくりと波打ち際へと戻っていきます。
卵は2ヶ月程度でふ化するので、7月の後半から9月には子ガメが海に帰っていく場面に出会うことも可能です。
いなか浜は夕日の美しい浜としても知られています。
雨の多い屋久島、きれいに落ちる夕日がみられるチャンスは多くはありませんが、夏には口永良部島の右側に、冬には左側に沈む夕日をぜひ、見に来てください。
昔はカメの卵を食用にしていて、永田の漁業組合が権利で入札して掘りにいって売っていた。
でも、掘るときは全部を掘り起こさんで、残しておく。全部取ったらカメがいなくなってしまう。
カメの卵は茹でても白身が固まらないで、鶏の卵とは違った感じ。それを3つも4つも食べて汗をかくと脇が黄色になる。
(日高弘美さん談)
「昔の人は、亀のことを海の神様」と呼んでいたが神様と呼ぶのは恥ずかしいから亀様と呼ぶと聞いたことがある。
神様かどうかはわからないが、うちの先祖はカメに助けられたことがあるそうで、羽生の家ではカメの卵は食べない。そして、一番最初に産まれたカメの卵を買い取って、砂に埋めて返していた。
(羽生一馬さん談)